360°パノラマは、どうやって作るのか? その全体像を整理します。
大雑把には、1)カメラとレンズを準備し、2)撮影し、3)写真をつなぎ合わせ、4)ムービーに書き出し、5)インターネットで公開、という段取りになります。
それぞれの詳細については、別項目で整理していきます。ご期待ください。
1.カメラとレンズ
特殊なカメラは必要ありませんが、広い画角が写る「魚眼レンズ」や「魚眼アダプター」を使うのが一般的です。
ここでは一眼レフ(ニコン)を基本に話をしていきますが、コンパクトデジカメやミラーレス一眼と魚眼レンズの組み合わせで撮影している人も多いようです。多数の写真をつなぎ合わせますから、画素数は結果的にすごく大きくなります。それに加え、センサーサイズが小さい方が被写界深度を稼げるメリットもあります。
フルサイズ一眼のような超高画素数で迫るか、コンパクトカメラでも多カット数で迫るか? 方法はいろいろあります。
2.撮影
前後左右、天地、といった具合に、360度全方位の写真を撮影します。レンズの画角によって撮影枚数や角度調整などが変わります。
変な雲台を使って、ややこしい動かし方をしていることこそが、360°パノラマの要諦です。
複数枚の写真をピタリと合成するために、レンズの中心(ノーパララックスポイント/ノーダルポイント)をカメラの回転の中心にしています。
このことで、全ての写真の視点が一致し(視差がなくなり)、画像を変形するだけで、画面周辺までピタリと合成できるわけです。
▲左の写真は、マウスポインタを左右に動かすことで動かせます。
※画面から左右いずれかに一気にマウスポインタを動かすと、グルグル回転して、どこかで止まります。これで、今日一日の運勢が占えます。
真正面が「当たり」??
3.写真のつなぎ合わせ
撮影した複数枚の写真を、1枚のパノラマ画像につなぎ合わせます。この作業を「ステッチ」といいます。ちょうど、地球儀を平面の地図に展開したような写真になります。一般的に使われる展開方法は「equirectangular(エクイレクタングラー/正距円筒)」と呼ばれる方式で、縦1×横2の比率になります。
※equirectangularは、equi(等しい)とrectangular(長方形)からできた単語みたいです。
よくよく見ると、いつの間にか「三脚や雲台」が消えていることに気付くはずです。
これもまた、360°パノラマの不思議なところ。もちろん、自然に消えたわけではありませんで、さまざまなテクニックを駆使して「消す」わけです。このノウハウもいろいろあるようですので、私自身も勉強しながら整理していこうと思います。
4.ムービーに書き出し
1枚にできた画像を、QuickTimeやflashでムービー表示できるように書き出します。最近では、iphoneやipadで表示するために「html5」を使う方法もあるようです。
5.インターネットで公開
ネットで閲覧できるようにhtmlを記述し、サーバーにデータをアップします。
▲上の画面の中にマウスポインタを置き、いろいろな方向にドラッグすると、360°全球のどの部分でもご覧いただけます。
以上が大まかな作業の流れになります。
3)4)5)は、撮影というよりもほとんど画像編集とサイト作りの話ですから、写真を専門にしている私などにはかなりハードルが高いのです。
360度パノラマを撮影している人の多くが、早くからインターネットの技術に目覚めていた人たち、そして写真撮影よりもサイト構築を生業にしている人であることも、うなずけます。
ですから後発組の私としては、「見せる」ノウハウを学ぶことに加え、撮影そのもので「違い」を見せる必要があるわけです。さて、何をどうやったらいいものか? 頭の痛い問題が山積みです。