私はニコンユーザーで、他のメーカーのカメラについてはかなり疎いのです。多分、そんな事情もあって、、APS-Cサイズに2種類あること(キヤノンと他)、シグマのFOVEONセンサーが、独自のサイズであることなどを、ここに来て始めて知りました。
それだけでなく、ニコンだけでも、APS-Cにフルサイズのカメラがあって、レンズには対角線魚眼に円周魚眼があります。自分が使っているカメラボディとレンズの組み合わせだけを考えるなら、さしたる問題もないのでしょうが、あれやこれやと使うようになると(いや、使うのではなく、頭の中で考えるだけでも)、もう、何がなんだかワケがわからなくなってきます。
パノラマを撮るには魚眼レンズを使えばよいんですよ、なんていう一言で済ませるわけにもいかないのですね。反省、反省。
1.センサーサイズと焦点距離など
35㎜フィルムが主流だったころは、こんな悩みなどなかったのでしょうが、いや、フィルムの時代に360°全景パノラマなんてのはかなり特殊な方法でしか実現しなかったはず。
カメラのセンサーサイズ(縦/横/対角線)と、対角線魚眼と円周魚眼を得られる焦点距離を表にまとめてみました。
センサー 名称 |
メーカー | 横 mm |
縦 mm |
対角 mm |
35㎜ 換算 倍率 |
対角線 魚眼 mm |
円周 魚眼 mm |
---|---|---|---|---|---|---|---|
フォーサーズ | オリンパス | 18 | 13.5 | 22.5 | 2 | 8 | × |
FOVEON | シグマ | 21 | 14 | 25 | 1.7 | - | × |
APS-C | キヤノン | 22 | 15 | 26.5 | 1.6 | (9) | × |
APS-C | 他 | 24 | 16 | 28 | 1.5 | 10(10.5) | 4.5 |
APS-H | キヤノン | 29 | 19 | 35 | 1.2 | - | - |
フルサイズ | 各 | 36 | 24 | 43.3 | 1 | 15(16) | 8 |
小数点以下を適当に丸めていますから、精度は求めないでください。
大事なのは、センサーの名称と対角線魚眼と円周魚眼の中の数字だけです。
追記-----------
Panorama-だるまのつぶやきのだるまさんから、諸般の問題一挙解決するサイトをお教えいただきました。ありがとうございます! 下記です。超便利。ご参考に。
●各メーカーのレンズごとにどのように撮影すればよいか、などが一覧表示されています。
【レンズデータベース】
●EOS Kissのケースで、焦点距離毎に示されています。(PDF5ページ目)
【論文:野外対象物の高解像度パノラマによる記録法】
2.対角線魚眼と円周魚眼の焦点距離
細かく数字を出すこともできるのでしょうが、頭がついていきません。なので、現在市販されているレンズを使って、さまざまなセンサーサイズで、魚眼レンズとして使える焦点距離をざっくり整理すると、次のようになります。
対角線魚眼で撮影する場合、
- フォーサーズ、FOVEONやAPS-C(キヤノン)も8ミリ。
- APS-C/Hなら10ミリ。(10.5ミリ可)
- フルサイズなら15ミリ。(16ミリ可)
円周魚眼で撮影する場合、
- フォーサーズ、FOVEONやAPS-C(キヤノン)では市販レンズでは無理。
- APS-C/Hなら4.5ミリ。
- フルサイズなら8ミリ。
こう整理してみると単純ですね。カメラとレンズのマウントの組み合わせを考えると、選択肢はかなり限られてきます。
そうはいっても、例えばミラーレス一眼カメラとレンズマウントアダプターを併用する方法や、外国製の魚眼レンズ、あるいは魚眼アダプターを使う方法まで広げると、方法は無限。といっても差し支えないはずです。日本全国だけでなく、海外にはいろいろな組み合わせを試されている方が多いでしょうね。
3.現行品の魚眼レンズ一覧
上を調べるに当たって、ヒットした魚眼レンズを整理しておきます。それぞれの写真がメーカーの該当ページにリンクしていますので、詳細はそちらまで。
まず、単焦点レンズの焦点距離が短い順に。ズームレンズは後で。
●シグマ4.5ミリ F2.8
APS-Cで円周魚眼として使える唯一のレンズ。180°の画角が、12.3ミリに写るそうです。
シグマの魚眼レンズのみ「等立体角射影方式」を採用しています。
▲シグマ4.5ミリ F2.8
●シグマ8ミリ F3.5
フルサイズで円周魚眼として使えます。シグマの魚眼レンズのみ「等立体角射影方式」を採用しています。
キャノンAPS-Cで使うと、「短辺に110.2度、長辺に175.7度、対角線でかろうじて180度になります。」 (シグマ/よしみカメラ、山崎様調べ)だそうです。
ニコンなどのAPS-Cでは、長辺に180度が収まります。
▲シグマ8ミリ F3.5
●オリンパス8ミリ F3.5
フォーサーズのセンサーで、対角線魚眼として使えるレンズです。
マウントアダプターを介して使えば、フルサイズで円周魚眼になるのかな?
▲オリンパス8ミリ F3.5
●シグマ10ミリ、F2.8
ニコンのAPS-Cサイズのセンサーで、180度対角線魚眼として使えます。
シグマ(FOVEON)で使用すると154度、キヤノンのAPS-Cでは167度、だそうです。
▲シグマ10ミリ、F2.8
●ニコン10.5ミリ、F2.8
ニコンのAPS-Cサイズのセンサーで、180度対角線魚眼として使えます。
▲ニコン10.5ミリ、F2.8
●キヤノン15ミリ、F2.8
フルサイズで対角線魚眼として使えます。
▲キヤノン15ミリ、F2.8
●ニコン16ミリ、F2.8
フルサイズで対角線魚眼として使えます。
●ソニー16ミリ、F2.8
フルサイズで対角線魚眼として使えます。
▲ソニー16ミリ、F2.8
★★ここからズーム
●キヤノン 8-15ミリ、F4
フルサイズでは全周魚眼と対角線魚眼。APS-C/Hサイズで対角線魚眼レンズになるズームレンズ。2011年3月発売とのこと。
▲キヤノン 8-15ミリ、F4
●ペンタックス 10-17ミリ、F4
APS-Cで180度対角線魚眼になります。
▲ペンタックス 10-17ミリ、F4
●トキナー 10-17ミリ、F3.5-4.5
APS-Cで180度対角線魚眼になります。キヤノンでは少し画角が狭くなります。
▲トキナー 10-17ミリ、F4
★★番外
●花形フードを外し(削った)魚眼レンズ
APS-Cで180度対角線魚眼になる、トキナー10-17ミリや、ニコン10.5ミリなどをフルサイズカメラで使用すると、円周魚眼のように画角を広く写すことができます。
ただし市販されているままでは、花形のフードが邪魔をして、画面がケラれます。これを嫌って、一部ユーザーは、フードを削って使用しています。
風の噂によれば、レンズをテープでマスキングして、掃除機で削り子を吸い取りながらヤスリでフードを削るのだそうです。・・・怖い。
▲トキナー 10-17ミリのフードを外した例
3.「射影方式」って何だ?
こうやって調べてみるとシグマだけ「等立体角射影方式」を採用しているとの表示が目に入りました。他のレンズは特に表示はなく、一般的な魚眼レンズの方式である「等距離射影方式」のようです。
なんでしょう? これ。
パノラマだるまさんによれば、この件に関しては「小田坊太の漫画研究」が一番分かりやすいとのこと。
確かに、これで一目瞭然。もっと分かりやすくするために、画像をアニメーションで比較してみると、このようになりました。
▲「等距離射影方式」と「等立体角射影方式」
これでイメージの違いはわかりました。
で言葉の意味を調べると・・・。
「等距離射影方式」
球面上の「距離」が正しく投影される方式。 天体位置測定などに使用できる。
「等立体角射影方式」
画面上の「面積」と、被写体を囲む「立体角」が比例関係になる。 空の雲の量や、森林の植生分布を調べるのに役立つ。
なんとなくこんな感じでよいのでしょうか?
しかしところが、これがたとえばPTGui上でどのように反映、補正され、画像と画像がつながるのか? ・・・・・・またまた調べることが増えましたよ。
・・・・・今回はここまで。